【レポート】第94回全国高校サッカー選手権大会 長崎県予選決勝戦
長崎南山、創成館、どちらが勝っても初の全国大会出場となる一戦。
両校は県高総体決勝でも対戦しており、その時は長崎南山が勝利している。
フォーメーションは南山が3-4-2-1。
創成館が4-4-2。実際は2トップの高木はやや低めで4-4-1-1と呼べる形。
*()内は背番号。
立ち上がりから長いボールを使って縦へ早くボールを送る南山。7分、南山の小川内(11)が抜け出し先制。その後も、廣田(7)のドリブル、大久保(8)のフィードを織り交ぜて攻める南山のペースで試合は進む。これに対して創成館は、長いボールを入れて、南山のDFラインを押し下げることで徐々にペースをつかみ、決定機も作っていくが、ゴールを割ることができない。逆に南山は、31分に右サイドの末永(15)のクロスを田川(14)が決めて2-0。着実に決定機を決める南山が安定度で上回り前半を終了。
後半、同点を狙い前への圧力を強める創成館。46分に山下(11)の右コーナーキックから田川龍(12)が決めて1-2。この1点で勢いを得た創成館は、舛田(7)の飛びだしを中心とした攻めで、ますます攻勢を強めていく。対する南山は、ラインが完全に下がってしまったためにセカンドボールを奪えず、さらに攻撃を受けるという悪循環へ。完全な創成館ペースとなった64分、創成館のエース城臺が会心のボレーシュートを決めついに同点。3点目を狙う創成館が試合をひっくり返すのは時間の問題かと思われたが、南山は、粘りを取り戻した守備で耐えていく。そこからは互いに1点勝負の我慢比べとなるが、互いに一歩も引かず、延長戦でもスコアは2-2のまま。
最後はPK戦に突入し、南山が創成館を6-5で振り切って初の選手権出場を決めた。
どちらが勝っても不思議ではなかった決勝戦だが、試合後に「このチームはずっと立ち上がりが・・」と創成館の久留監督が語った言葉が全てだろう。立ち上がりの僅かな隙を得点に結びつけた南山のしたたかさが上だったと思う。わずか5年でチームを決勝戦まで進出させた久留監督の手腕は素晴らしいものだ。恐らく、5年の間に色んな苦労や想いをしてきたことだろう。だが、南山の村里監督にもサッカー部を率いて30年の意地と強さがあった。
経験者が2人だけの部員11人から始まった久留監督の冒険。強豪と言われながら、全国への道を何度も阻まれてきた南山の村里監督の歴史。2つがぶつかりあい、今年は南山が押し切って優勝を果たした。そして、南山は夢の選手権へと向かい、他の県内全ての学校は、次の戦いを見据えながら新たな冒険へと向かっていく。
南山高校の全国での健闘と、他の県内全ての学校の今後に期待したい。
(TEXT by 藤原 裕久 PHOTO by ayumi )