蹴球の夢 ~国体代表の練習風景~

夜。土の練習場。選手はベンチで着替える。
無論、スポーツドリンクや練習道具を手配し、配置してくれる主務などはいない。
国体サッカー成年男子代表の練習は平日の夜。
チームの主体は九州リーグ所属で国体強化指定チームの「三菱重工長崎」。
かつてこの場所は、V・VAREN長崎の主な練習場だった。
Jリーグへの夢を胸に、毎晩のようにここで練習があっていた。
冬は見学者が寒さに打ち震える中で、徹底的に走り込みや筋トレを行った。
開幕後の春はミニゲームが多く、夏はポリバケツに汲んだ水を頭からかぶって練習を続けた。
秋には怪我や疲労に苦しみながら・・シーズン終わりを前に居残ってボールを蹴る者もいた。
月日は流れ、この場所でV・VARENが練習をする事はなくなった。
だが、今も目の前で練習を続ける国体成年男子には、昔のV・VARENを知る者も多い。
原田武男、竹村栄哉、加藤寿一、熊谷智哉、福田涼、久留貴昭・・。





どこかで「もっと気持ち見せな!」と叫ぶ熱血漢の声が聞こえた気がした。
グランドの隅で天才がリフティングをしているような気がした。
そんな事を考えていると根橋コーチ(三菱重工総監督)の声が聞こえ、
安部真一が目の前を走り、浜本達がボールを追っている。
気付けば、かつてV・VARENに所属した他県生まれの選手達も“長崎”として汗をかいている。
プロではなくなったが、誰も手を抜かない。
懐かしく、そして新しい。
長崎のフットボールは今夜も夢の続きを繰り広げている。
(Text by KLM)
Posted by vista
at 15:37
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